居住用不動産の「譲渡損失」の「損益通算」および「繰越控除」制度

本題の特例については、冒頭でもお伝えしている通り、

売却して新たに他の物件を購入するケース
 
売却するだけのケース


の2つのパターンで計算方法が異なります。


まずは、,離院璽 (特定の居住用不動産を買い替えた場合の譲渡損失の損益通算および繰越控除)でケーススタディを見てみましょう。

,離院璽垢任癲売却損を出しているのが前提になります。


事例として、新築時に3,500万円で購入した戸建住宅を10年後に2,200万円で売却し、次の住まいもローンで購入したケースを考えます。



まず、新築時の戸建を土地価格(1500万円)、建物価格(2000万円)に分けて考えます。


建物価格の減価償却費は、旧定額法で計算するので、2000×0.9×0.031×10=558万


したがって、2200万円-(3500万-558万※減価償却費+175万※取得費)= ▲917万円

の譲渡損失が生じる計算になります。

給与所得者で額面年収が500万円の方の場合、


額面年収500万円から給与所得控除を差し引き、実際に税金がかかる所得を約346万円として計算します。

この346万円から損益通算できるのが、上記の▲917万円になります。


したがって、346万円-917万円=▲571万円


となり、損益通算すると課税所得額がなくなり、税金を支払わなくてもよくなります。

したがって、源泉徴収されていた 所得税142,500円(年額) の還付(払い戻し)を申請することが可能となります。


また、前年度の所得で計算する翌年の住民税も支払わなくてよくなります。(住民税約24万円(年額))


さらに通算しきれなかった▲571万円は来年の所得から控除でき、さらに▲が上回れば、翌々年も控除が可能となります。(繰り越し控除)


ただし、この,離院璽垢任瞭知磴蓮⊃靴燭貿磴ぢ悗┐鮃圓Δ里条件となっている等、下記のような特例の適用要件があります。

(1) 自分が住んでいるマイホームを譲渡すること。なお、以前に住んでいたマイホームの場合には、住まなくなった日から3年目の12月31日までに譲渡すること。また、この譲渡には、譲渡所得の基因となる不動産等の貸付けが含まれ、親族等への譲渡は除かれます。

(注) 住んでいた家屋又は住まなくなった家屋を取り壊した場合は、次の3つの要件全てに当てはまることが必要です。

イ その敷地は、家屋が取り壊された日の属する年の1月1日において所有期間が5年を超えるものであること。

ロ その敷地の譲渡契約が、家屋を取り壊した日から1年以内に締結され、かつ、住まなくなった日から3年目の年の12月31日までに売ること。

ハ 家屋を取り壊してから譲渡契約を締結した日まで、その敷地を貸駐車場などその他の用に供していないこと。

(2) 譲渡の年の1月1日における所有期間が5年を超える資産(旧居宅)で日本国内にあるものの譲渡であること。

(3) 譲渡の年の前年の1月1日から売却の年の翌年12月31日までの間に日本国内にある資産(新居宅)で家屋の床面積が50平方メートル以上であるものを取得すること。

(4) 買換資産(新居宅)を取得した年の翌年12月31日までの間に居住の用に供すること又は供する見込みであること。

(5) 買換資産(新居宅)を取得した年の12月31日において買換資産について償還期間10年以上の住宅ローンを有すること。
※国税庁HPから


買い替え資産は、新たに住宅ローンを組んで購入することが条件になっています。


この制度は、「住宅ローン控除」との併用が可能なので、上記のケーススタディでは4年目から7年間にわたって「住宅ローン控除」を使ってさらに所得税・住民税の還付を受けることが可能です。